合同会社ジンバル/Gimbal LLC

顧客の事業の収益性・成長性・持続可能性の向上に貢献する

「組織」における
No.2ポジション

2016.05.23
ヤンマー株式会社 執行役員 ビジネスシステム部長 矢島孝應
矢島孝應
矢島 孝應
1979年、松下電器産業(現パナソニック)入社、アメリカ松下電器株式会社 MIS ジェネラルマネージャー。本社 情報企画部長、三洋電気の執行役員ITシステム本部長などを歴任。2013年1月、ヤンマー株式会社入社。売上高1兆円を目指すヤンマーのIT革新に向け、グローバルにビジネスシステム改革を推進中。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)審議委員、社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)、IT部門経営フォーラム関西座長

昔の日本で大を成した企業には、卓越した素晴らしい経営者とその陰に「番頭さん」又は「大番頭」と呼ばれる方がおられました。現在では企業組織は体系化され、副社長、専務、常務と呼ばれる役員が形式上も含め配置されています。しかし、実質的に「番頭さん」の役割をそれらの方々が果たしていない企業もあります。具体的な企業名はここでは差し控えますが、そうした企業は「ワンマン経営」とも呼ばれ、短期的には成長を果たしているように見えるケースもありますが、企業として、組織としていずれ行き詰まり、破たんするケースが出てきています。

「番頭」は経営トップを支える存在

「番頭」という言葉を調べてみると、元々は武家において、指揮官で一番位の高い人を指し、その後商家においては、商家使用人の中での最高の位にあるものを示すと書かれてあります。しかし、私が言う「番頭さん」は、使用人のトップという位置づけを言いたいのではなく、経営者(トップの方)を支えている存在を示しております。 松下幸之助氏と言う日本最高の経営者には高橋荒太郎氏と言う「番頭さん」がおられ、松下経営を支えてこられました。

私は37年間の企業における経験の中で、強い組織、成長する組織を作るのはNo.2ポジションが非常に重要であると気づかされました。それは恐らく企業だけではなく企業の中の各々の組織でも、また一般企業ではない他の組織においても同じであると考えます。

通常の会社であればトップは代表取締役社長であり、No.2は副社長です。部であれば、部長がトップでNo.2は副部長か次長、又はその下部組織の課長です。課であれば、課長がトップで課長補佐か係長か主任でしょう。私が言う「組織」は、こうした所謂組織表に掲載されている組織だけでなく、プロジェクトであってもそのプロジェクトの責任者がおられ、そしてNo.2としての位置づけの方がおられます。正式な体制でなくても、人が何人か集まって行動を行う際には、そこに自然にトップの人とNo.2のポジションの人が存在いたします。

何故、組織においてNO.2が重要か

成長し続ける強い組織を作るために「No.2」が重要であると言う理由は以下の2点です。

  1. ① トップの補佐役だけでなく、お目付け役としての役割が必要
  2. ② トップが常に将来を考えられる様、現状のすべてを行う役割が必要

最初に挙げた「トップの補佐役だけでなく、お目付け役としての役割が必要」については、トップは有能であっても決して万能ではなく、判断に間違いがあれば、仮に上司であっても「NO!」又は「ダメです!」と言わなければなりません。ただ、この機能は通常の企業組織であれば「取締役会」や「監査役」により機能しているはずです。勿論それが機能しておらず、躓いている企業が見受けられることはご存じのとおりです。さらに言えば、企業以外の「組織」においてはそうした牽制する機能がないため、この役割は非常に重要になります。

NO.2の役割を担うことの大事さを考える

私が今回この原稿で示したかったのは、二番目の「トップが常に将来を考えられる様、現状のすべてを行う役割が必要」ということです。

皆様、今からの話を自分の中でよく考えてみてください。読者の方はどこかの「組織」の必ず「トップ」です。自身は社長でも部長でも課長でもないぞと思われている方、そうした組織表でのトップでなくても、何かの仕事(大きくても小さくても構いません)を進める時、何か実行する時、誰でもトップとしての位置で行動しているはずです。皆様が「トップ」として決断し、行動や仕事を進める時に、もし自分がやらなければならない、自分が決断しなければならない、その事を次のポジション(No.2の位置)の方が全て実施してくれたら、どうでしょうか?自分がやらなければならないことを、その人物が進めてくれるのであれば、自分自身は次のことを考えたり、関連する他のプロジェクトや仕事との連携を広い目で考えたり、外部環境をより高い視点で見て進める等のことができるようになります。しかし、そうした「No.2」の方がいなければ、そうはできません。今の仕事を着実に進めることに精一杯になってしまいます。

「No.2」ポジションを強化し、成長し続け得る強い組織を作る

次に皆様ご自身は必ず「No.2」のポジションでの仕事や活動をしているはずです。もし皆様が「No.2」のポジションで、その上のトップの方の仕事を自ら取り込み、進めていけば、自分の上の方は、より広く先を見据えた仕事に打ち込む事が出来るし、その人のあなたに対する信頼は非常に大きなものになります。

このように「No.2」が強い組織は成長し続けることができ、成功をおさめ、周りからの信頼を得ることができます。

しからば、どうすればそのような組織や人材を育成できるか。各々の人間が「トップ」であり「No.2」であることを自覚することが重要です。先ほども申し上げましたが、必ずどの人間もこの二つの立場は持っているはずです。そうした際に、「トップ」としての自分がなすべきことは、次の2点です。

  1. ① No.2を日頃から育成する(No.2になり得る人材への動機づけと教育)
  2. ② 仕事においてNo.2に勇気をもって仕事を任せる(エンパワーメント)

次に、「No.2」としての自分がなすべきことは、

  1. ① 日頃からトップの相談に積極的にのり、トップの仕事を知る
  2. ② トップの仕事を自ら取り込む

それぞれの組織の中で「No.2」ポジションを強化し、成長し続け得る強い組織を作る努力をしていきたいと思います。

ところで、この話をしたときに以前聞かれた質問がありました。

「家庭では家内と私はどちらがトップでどちらがNo.2ポジションをこなせば良いのでしょうか?」

残念ながらこの質問の答えは、私には見つかっておりません(笑)