合同会社ジンバル/Gimbal LLC

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音の記憶

2016.08.16
株式会社アミック 代表取締役 浜松ソフト産業協会 理事 田北暁
田北暁
田北 暁
1953年、軍艦島のある長崎県高島出身。74年に国内大手輸送機器メーカー入社。約10年生産管理業務を経験。
83年に関連エンジニアリング会社に転向し、中小企業向生産管理システムパッケージを開発。
92年に株式会社アミック設立、代表取締役就任。 製造業のための統合基幹業務システム構築のためのコンサルティング及びシステムインテグレーターとして提案・開発・導入を行っている。
ハイブリッド型統合生産管理システム「AMMICシリーズ」を発表、薬品・食品・化学品製造業をはじめ多くの業種への導入を実現する。
浜松ソフト産業協会理事。趣味はJAZZ、ギター演奏、ドライブ

ずいぶん昔の話になりますが、私は、学生時代には時間ができると街中のJAZZ喫茶に入り浸っていました。JAZZを聞きながら、大音量の空間でも心地よく長居できたものです。レコードで聞く音は、生々しく新鮮でした。

当時軽音楽部のマネージャーをしていた私は学業よりバンド活動を優先していました。朝、昼、晩と授業の合間にも楽器を弾いていましたが、当時は音質よりも音量を重視していたかもしれません。バンドではロック中心の曲を演奏していましたが自宅ではジャズのソロ曲を練習していました。

学生時代に過ごした街は佐世保で、米軍基地のおかげでラジオ放送のFENを聞きながらテスト勉強をしていました。大きなラジカセ(死語ですね)で聞くFENの音楽も心地良かったことを覚えています。

暖かい甘い音が出るDeluxeReverb

就職して浜松に住むことになった私は、先輩の誘いでジャズのライブハウスで演奏させてもらう機会を得ました。

東京から来たプロのジャズギタリストがリーダーのバンドが素晴らしい演奏をした後で、2曲弾かせてもらいました。私のソロアドリブ部分にベース奏者が入ってきて、動揺した私は途中で演奏を止めてしまう失態を演じましたが、コントラバスの音が重なったときの心地よさは忘れられません。

その時の演奏がきっかけで、浜松で活動しているプロの演奏家と知り合うことができ、いまでも交流が続いています。

その中の一人が、使わないからと言って、古いギターアンプを無償で譲ってくれました。それは、彼が大阪の吉本興業で働いているときに、引退する先輩からいただいたものでした。1965年製のFender社のDeluxeReverbというアンプです。

あとで知りましたがこのモデルはギターアンプのなかでも最も人気のある機種で現在でも高額で取引されているようです。音量は小さいのですがとても暖かい甘い音が出るアンプで、自宅で弾くアンプとしてはとても気に入っていました。

それと同時に私には吉本興業でお笑い目的でバンド演奏していた芸人の方たちでも最高の音質を求めていたことが職業人としてのこだわりの強さを実感させてくれました。

http://fenderguru.com/amps/deluxe-reverb/より
BF/SF Deluxe Reverb
Production years:

  • 1964-1967 "blackface" circuits AA763, AB763, AB868 (CBS)

DeluxeReverb1

DeluxeReverb2

その後、浜松のフュージョンバンドに誘われ活動を開始しましたが、プロとして活動しているほかのパートのメンバーのレベルに追いつくのが大変でしたし、音量で負けているような気がして、当時月給の3倍近い金額の新品のアンプを購入してしまいました。そして音量の出ない先のFenderのアンプをただ同然で売り払ってしまいました。

ロックやフュージョン系の音楽にはとても相性のいいアンプでしたが個人でJAZZ を弾くには辛い音質です。

アンプのオーバーホールに挑戦

その後、売り払ったアンプのことが忘れられずに、いつか当時の音が出る個体に巡り合えないかと探していましたが、なかなか出会えませんでした。

またそれがとても難しいこともわかりました。真空管と電解コンデンサーには寿命があり、古くなって音質がわるくなってしまっていることが理由です。

当時の真空管やコンデンサーと同等の新品はもう手に入らないというのが現実です。その当時の音の記憶をもっている方も少なくなり、アンプ修理をしてくれる業者さんにお願いしても、同じ音質に近づけることが難しいのが現実です。

今年やっと、自分で「はんだごて」を握り、当時のコンデンサーや線材、部品を探して同モデルのアンプのオーバーホールに挑戦しました。慣れないはんだ付けはなかなかうまくいきませんでしたが、休日の試行錯誤の後、やっと納得できる40年前のあの時の音の記憶に近づけたような気がします。

良い楽器を見つける旅に出かける

好みの音質の楽器は長く弾き続けられます、そしてそれが演奏のセンスを上げていきます。練習時間が苦になりません。

子供に楽器を学ばせたい親御さんに強く助言したいことは、なるべく早い時期に、良い楽器を見つける旅に出かけることです。

尚、皆さんが耳にしているJPOPや演歌、ロックのギターの音は先のfenderのアンプの 開発者であるLeo Fenderさんが発明したトーン回路をベースにしています。若いミュージシャンたちが使っているアンプのほとんどはその子孫だと言えます。

当時、50年代60年代も多くのアンプメーカーがありましたが、彼が作ったアンプは他社を品質、機能の面でも圧倒していたと思います。それは、彼が若いころから多くのアンプの修理をしてきた経験があり、その過程で、多くのミュージシャンの声を真摯に聞いてきた結果だと思いました。

現代のプロミュージシャンのギターアンプのほとんどはいまだに真空管アンプだということも付け加えさせてください。