合同会社ジンバル/Gimbal LLC

顧客の事業の収益性・成長性・持続可能性の向上に貢献する

継続することの大事さを考える

2016.01.20
合同会社ジンバル 代表 平山賢二
平山賢二
「学びの泉」は私が担当するコラムです。
学びとは、「?>!」で表現される。「何故?」が先にあって、そこから学びが始まり、「なるほど、そうなんだ!」という一連の活動が学びだと思う。
 事前の疑問を意識していなくても、「!」(なるほど、そうなんだ!)はある。しかし、「?>!」に勝るものはない。普段から、いくつもの「?」をもっていれば、学びも大きいと思う。私自身は、このコラムを書くことで、多くを学ぶ。
また、「創発の泉」では、コラムを担当して頂く方々の学び「?>!」から、更に多くのことを学ぶ事が出来ると思う。
 創発とは、「1+1>2」、つまり、「三人寄れば文殊の知恵」であって、そこから更に多くの「!」(発見)が生まれると思う。

日本経済新聞にスポートピアという連載がある。新年が明けて、1月5日の担当は昨年ピッチャーとして32年間のプロ野球生活を終えた元中日ドラゴンズの山本昌(やまもと・まさ)さんのコラムだった。そこで、山本昌さんが述べている二つのことが私を釘付けにした。

一つは、課題を設定して挑戦する事に関して次のように書いている。
『2月にキャンプが始まれば、毎年のように新しいフォームを試みた。できるできないは別として、課題を設定して挑戦するのは楽しいことだ。野球を商売や仕事と考えたことはない。それは最後まで変わらなかった。』

もう一つは、継続することに関して次のように書いている。
『拍子抜けするかもしれないが、「続けられる目標しか立てないこと」だ。ハードルを上げて頑張るのではなく、無理なく飛べるところまで下げる。私は2キロのダンベルを使った2分ほどの手首のトレーニングを高校時代から日課にしていた。』

実は私にも、些細なことだが継続していることがある。

「砂をかむようだ」と彼は言った

アーサーアンダーセンという外資系の会社に転職して一年目に、前職の住友ビジネスコンサルティング時代のお客様から大きなコンサルティングの仕事を頂いた。

テーマは、製造部門を除く12,000人を対象にした業務の洗い出しとそれによる業務改善の推進である。いわゆるホワイトカラーの業務改善は、業務の可視化や測定、更にはその付加価値の評価などあいまいさが多く、成果の上がりにくいテーマである。

私がリーダーで、他にスタッフが3~5名、約一年間常駐してプロジェクトを担当した。ある週明けの朝、新幹線の移動中にスタッフのMさんが同じ車両にいた。何か一所懸命にメモをしているので、何をしているのか問うと、「プロジェクトは、毎日、砂をかむようだ。何か支えになるような言葉があるとメモをして残している。それを時々読み返しながら頑張っている」と言った。当時、20歳後半の彼は、知識ではなく自分の心の支えになる考え方をメモしていた。

この時、私は大きなショックを受けたことを覚えている。知識は勉強すればいくらでも増やす事が出来る。しかし、良い考え方は、本当に悩んだり困ったりして、何とかそこから抜け出そうとしてすがる時に役に立つが、それは悩んだ経験の中からしか出てこない。

知識ではなく、「考え方につながる、心に響いた言葉」をメモする

それ以降、私も心に響いた言葉をメモするようになった。

最初は、仕事に使っているノートにメモをしていたが、ノートは数か月ごとに一杯になって次のノートに替わる。また、仕事の記録の間に埋もれて、いざ読み直そうとしてもどこにあるか探す事が出来ない。

また、いくら心に響いた言葉でも、それを一字一句間違えないように書き出すのは手間がかかるものである。そこで、合理的だし、同じことだと思って切り抜きをして貼り付けたこともある。

そこで気付いたことだが、切り抜いて貼り付けたものは、「何か、自分のものではない」と感じてしまう。努力を省いて切り抜きと貼り付けでは、それを最初に読んだ心の響きからは程遠く、心にしっくりしない。

そのようないくつかの変遷をたどりながら、ここ10年は、スケジュール用の手帳を使って、その手帳の後ろにある5ページくらいの白紙のスペースに手書きで書き込むことにしている。5ページくらいしかスペースがないので、これは!と思ったことだけを残す。

手帳

実際には大事なことが脱落しているかもしれないが、それは仕方がないと割り切っている。写真はその昨年(2015年)のメモのページである。

これなら、一年間持つし、私は大学を出て勤めて以来、仕事の手帳は全て残している。それらを合計すれば、10年間、6ページということは、合計で60ページの私のその時々の心に響いた言葉になる。

「ゆっくりでも、止まらなければけっこう進む」

2014年4月7日に放映されたNHKのプロフェショナルの流儀という番組をみていて、メモを残した。このように、記事だけでなく、TVの番組やお客様や友人との会話からもメモをしている。

4/7/2014 プロフェショナルの流儀 NHK
国中 均 はやぶさ イオンエンジン開発者
★ゆっくりでも、止まらなければけっこう進む
(やってみせるという気概がなければ開発はできない)
★問われるのは結果のみ
★(プロフェショナルとは)生き馬の目を抜くこと

イオンエンジンは、その推進力は小さいが、宇宙で長時間推進することによって、どんどん加速していき、ついには、はやぶさを小惑星イトカワまで運び、そして帰ってきた。困難を極めたイオンエンジンの開発者として、その開発をイオンエンジンを搭載したイトカワの歩みと重ねて話した言葉として、私の心に響いて、そしてメモに残った。

■JAXAのHPより
「はやぶさ」の電気推進エンジン(イオンエンジン)は、マイクロ波を使ってプラズマを作るのが大きな特徴です。イオン化した推進剤のキセノンガスを、強力な電場で加速、高速で噴射させることによって推進力を得ます。燃料と酸化剤を燃焼させる化学推進エンジンと比べると、推進力は小さいですが、非常に燃費がよく長時間加速し続けることができます。また、イオンエンジンの加速電極板に、耐久性にすぐれた炭素の複合材を使用し、従来に比べて3倍ほど寿命を長くしました。このイオンエンジンの実用化に成功したのは、「はやぶさ」が世界で初めてです。

毎朝のストレッチは、やらなかったら気持ちが悪くなっている

40歳のころから、毎朝、起き上がる前に布団の中でストレッチをすることが、私の習慣になっている。

きっかけは持病のようになっていた腰痛対策である。住友ビジネスコンサルティングからアーサーアンダーセンに転職してゴルフを復活したが、よく腰痛になり病院に通った。ゴルフも、ドタキャンにならないように、病院に行って腰のまわりをテーピングしてもらってプレーしたことも何度もある。

そこで、腰痛体操やストレッチの本を読んで自分でメニューを作り毎日の日課にした。本を読んで作ったメニューは欲張りでしばしば挫折した。そして残っているのが現在のメニューである。つまり山本昌さんの言われる通り、出来るメニューだけが毎日の日課として残っているのである。その欲張らないお蔭で25年近くも続いている。25年間の間には継ぎ足しては挫折してやめたメニューもあれば、継ぎ足して継続して定番になったメニューもある。

今年になって追加したメニューが一つある。新春の箱根駅伝で、2年連続で往路、復路の総合優勝した青山学院大学の体幹トレーニングのメニューから、私でもできそうなメニューを一つだけ追加して実施している。このメニューを定番メニューとして継続できるか否かは分からないが、継続できなければ、また新たなメニューを考えればよい。

今では起きたてにストレッチをしないと、何か気持ちが悪い。まさに山本昌さんの言われる通りです。

今では腰痛は殆どしなくなったし、年をとっても、勿論飛距離は出なくなったが、ゴルフのスイングは変わらないように思う。

もう一つの継続は目標の設定

毎年、新年にはその年の目標を手帳に書くようにしている。これも10年以上続いている。

ビジネスの目標や自分自身の自己啓発、家族との関係などいくつかの項目に分けて、書いている。今年の目標は、ビジネスや旅、家族など大項目で4つ。それを細分化した小項目で12の項目になっている。

手帳に書いているので、毎日、見ようと思えばいつでも見る事が出来る。そして年末に●×を付けて簡単な評価をする。イメージで言えば、1/3もできていない。

目標設定は頭で考えればよいので簡単だが、その実行と達成は難しい。

毎年その繰り返しだが、懲りずに今年も書き出して船出をした。少なくとも、書いているから1/3程度の出来高だが、書いていなければ成り行きになって、その実行や達成度は相当低くなっていると思う。年の初めの山本昌さんのコラムには勇気づけられ、良い年のスタートを切れた。

個人でも会社でも、継続的改善が出来るということは、凡人がまたは普通の会社が何とかやっていける大きな強みになると思う。継続するから改善が出来る。